不動産賃貸業(個人)の税務における注意点
2016/12/03
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個人の方で、アパート経営、マンション経営、駐車場経営をしている方については確定申告が必要となります。
また、サラリーマンの方で、投資用にマンションの一室を購入し、貸しているような場合についても、収入金額から経費を差し引いた金額が20万円を超えるようなら、同様に確定申告が必要となります。
ここでは、不動産の賃貸収入による所得がある方の税金に関する注意点を確認します。
目次
開始するにあたっての税務手続き
開始する不動産賃貸業務が事業的規模(規模については後述します)であるなら、「個人事業の開業届出書」の提出が必要となります。また、帳簿作成することを前提として、メリットが大きいので、「青色申告の承認申請書」についても期限内に必ず提出してください。
もし、アパートの管理人等に給与の支払があるようであれば、「給与支払事務所等の開設の届出書」や「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」についても合わせて提出しましょう。
詳細については、以下の各記事を参考にしてください。
収入となるもの、経費となるもの
不動産賃貸業の確定申告の基本となるのは、「収入となるもの、経費となるもの」について、正確に把握することです。
不動産賃貸業の収入となるもの
①毎月の賃貸料
②礼金・権利金・更新料(本年中に収入が確定したもの)
③名義書換料
④保証金・敷金(返還しないことが確定したもの)
⑤賃借人から受ける水道料・電気料
不動産賃貸業の経費となるもの
①建物・建物附属設備・構築物などの減価償却費
②建物の敷地の地代
③給料賃金(アパート管理など従事している使用人に支給するもの)
④借入金利子
⑤修繕費(資本的支出とならないもの)
⑥建物等の火災保険料
⑦固定資産税・事業税・印紙税などの租税公課
⑧未収賃貸料などのうち回収不能となった金額のうち一定のもの
収入の計上時期
不動産所得の収入を計上する時期について、年をまたいで支払を受けるような場合には気をつけましょう。
●地代、家賃、共益費など
契約などにより支払日が定められている場合は、定められている支払日となります。
支払期日が定められていない場合は、実際に支払いを受けた日の収入となります。
●保証金・敷金等
返還を要しないことが確定した日となります。
現金主義で計算できるケース
以下の要件をすべてみたす場合には、実際に入金があった日(現金主義)によって収入計算をすることができます。
2.以下の届出書を期限内に提出していること
●国税庁HP 所得税の青色申告承認申請(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書
事業的規模について
不動産賃貸業については、その規模が事業的規模か事業的規模以外かによって、税金の計算が変わってきます。事業的規模とはどの程度の規模を指すのか、またどう計算が変わるのかについて確認します。
事業的規模の判定
賃貸業の実質を見て、一定の規模に達しているかどうか、総合的に判断しますが、以下の基準があります。
次のいずれかに該当すれば、原則、事業として判断します。
② 独立家屋の貸付け・・・おおむね5棟以上
事業的規模と事業的規模以外の違い
不動産所得について事業的規模か事業的規模以外かで、税金計算上の相違点として主なものを以下に挙げます。
項目 | 事業的規模 | 事業的規模以外 |
---|---|---|
青色申告特別控除 | 最高65万円 | 最高10万円 |
賃貸料等の回収不能 による貸倒損失 |
回収不能となった年分 の必要経費に算入 |
収入計上した年分まで 遡って所得の計算をやり直す |
賃貸用固定資産の取壊し、 除却などの資産損失 |
全額を必要経費に算入 | 資産損失の控除前の不動産所得の 金額を限度として必要経費に算入 |
青色事業専従者給与又は 白色申告の事業専従者控除 |
適用可能 | 適用不可 |
※不動産所得のほか、事業所得がある方については、事業的規模以外であっても、青色申告特別控除額を最高65万円まで受けることができます。
赤字の場合の他の所得との損益通算
不動産所得の計算は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。
計算した結果、赤字が生じているときは、他の所得から差引計算(損益通算)することができます。
しかし、以下のようなケースについては、差引計算(損益通算)することができませんのでご注意ください。
1.別荘などの趣味、娯楽、保養等の目的の不動産の貸付に係るもの
2.土地等を取得するために要した借入利子に相当する部分の金額