あなたの業種は大丈夫?税務調査の対象になりやすい業種ランキング(個人事業者)
2016/11/05
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つい先日、国税庁から平成27年度の個人事業者の税務調査の状況が公表されました。
※ここでいう年度期間は平成27年7月~平成28年6月を指します。法人のデータではありません。
個人事業者の調査対象になる税金の種類は、所得税と消費税となります。
ここでは、そのうち所得税のデータをもとに見ていきます。
直近のデータから、最新の税務調査の傾向や税務調査の対象になりやすい業種が見えてきます。
税務調査の件数は減少傾向!?
まず、以下のデータをご覧ください。
一般調査・特別般調査 | 着眼調査 | 簡易な接触 | 調査等合計 | |
---|---|---|---|---|
平成26年度 | 49,280 | 18,494 | 672,394 | 740,168 |
平成27年度 | 48,043 | 17,973 | 584,415 | 650,431 |
税務調査等の件数で、前年のデータ(上)と今回データ(下)の比較になります。
調査等の合計数(一番右)について、平成26年度と比較すると、12.2%減少していることが分かります。
一般調査・特別調査、着眼調査、簡易な接触と区分していますが、それぞれ以下のとおりとなります。
一般調査・特別調査(任意調査)
一般調査とは、任意調査と呼ばれるもののうち、一般的に行われるもので、通常、税務調査というと、こちらの一般調査となります。
事業によっては、不正行為の可能性があまりなかったとしても、定期的に行われることがあります。
事前通知が必ずあり、帳簿や証憑書類を中心に調査されます。
特別調査についても、任意調査と呼ばれるものですが、一般調査よりもかなり厳しいものです。
会社はもちろん、場合によっては社長の自宅、取引先等に数十人で同時に調査が行われることもあります。
国税局の資料捜査課、あるいは税務署の特別調査班によって行われます。
事前通知はありません。
これらの任意調査とは別に、悪質で計画的な脱税に対しては、「強制捜査」というものが行われます。
国税犯則取締法という法律に基づくもので、通称マルサと呼ばれるものです。
今回のデータに強制捜査の件数はありません。
着眼調査
調査対象項目を絞った税務調査で、半日程度で終わったり、文書のやりとりで終わるようものを含みます。
申告もれ所得金額は増加!?
調査件数は減っていますが、その調査によって、どれだけの所得金額の修正が入ったかを見てみると、
(億円)
一般調査・特別般調査 | 着眼調査 | 簡易な接触 | 調査等合計 | |
---|---|---|---|---|
平成26年度 | 4,319 | 689 | 3,651 | 8,659 |
平成27年度 | 4,522 | 722 | 3,542 | 8,785 |
前年よりも増加していることが分かります。
また、申告もれ所得金額に対する追徴税額は、以下のとおりです。
(億円)
一般調査・特別般調査 | 着眼調査 | 簡易な接触 | 調査等合計 | |
---|---|---|---|---|
平成26年度 | 696 | 46 | 265 | 1,008 |
平成27年度 | 746 | 52 | 277 | 1,074 |
※本税と加算税を合算した数値です。
同様に増加しています。
つまり、前年と比べると調査件数は、減少したにもかかわらず、申告もれ所得金額、追徴税額は増加しているのです。
これは、税務署側からすると、税務調査の効率化が進んでいて、短期間で的確に修正箇所を見つけることに成功していると言えます。
さらに、個人事業における1件あたりの申告もれ所得金額が大きい上位10業種というものも公表されています。
税務調査対象になりやすい業種とは!?
それでは、税務調査対象になりやすい業種ランキングをみていきましょう。
(万円)
順位 | 業種 | 1件あたり 申告もれ所得金額 |
1件あたり 追徴税額 |
前年の順位 |
---|---|---|---|---|
1 | キャバレー | 2,628 | 700 | 1 |
2 | 風俗業 | 2,326 | 646 | 2 |
3 | 畜産農業 | 1,471 | 271 | ランク外 |
4 | ダンプ運送 | 1,144 | 182 | 5 |
5 | 特定貨物自動車運送 | 1,118 | 146 | 7 |
6 | 解体工事 | 1,006 | 178 | 19 |
7 | 型枠工事 | 983 | 157 | 15 |
8 | バー | 970 | 143 | 3 |
9 | 鉄筋鉄骨工事 | 970 | 144 | 17 |
10 | タイル工事 | 966 | 136 | ランク外 |
※前年の順位は、上位20位に該当しないものは、ランク外としています。
まとめ
今後も税務調査の効率化は進んでいくものと思われます。
インターネット、電子申告の普及などにより、内部外部との資料のやりとりも簡単にできるようになり、情報分析もより正確になっているのではないでしょうか。
所得もれの可能性が高い事業者に的確に調査に入ることが可能になってきていると言えます。
マイナンバー制度の導入により、この効率化はいっそう進んでいくでしょう。
効率化でいうと、1件あたり申告もれ所得金額が高い業種は、やはり税務調査対象になりやすいと言えます。
調査対象になりやすい業種は、いっそう適正に帳簿作成し、税務調査に備えていく必要があります。