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ビットコイン等の仮想通貨による所得申告について

   

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税理士 土屋 賢(つちや けん)

代表税理士土屋税務会計事務所
東京都調布市で開業している税理士です。会社設立や資金調達、決算書作成に税務申告、税務調査対応に至るまで親切丁寧にサポートします。お問い合わせはこちらまで。

ニュースや新聞でビットコインを代表とする仮想通貨の動向を目にすることが多くなっています。

国内における個人での利用者数も増加している中、決済手段目的ではなく、値上がりを求める投機目的が9割を超えると言われています。値動きの大きさに引かれて、株式や外国為替証拠金取引(FX)から移行する方も増えているようです。

国税庁においても、ビットコイン等の仮想通貨の売買取引等で得た利益についての取り扱いについて、見解が示されました。

ここでは、ビットコインをはじめとする仮想通貨により得た利益の取り扱いついて平成29年12月現在分かっていること、合わせて想定される取り扱いについてまとめたいと思います。

仮想通貨による利益は雑所得として総合課税

ビットコイン等の仮想通貨の売却または使用することで得た利益は原則、雑所得として総合課税されることが明らかになりました。

このことから、仮想通貨に係る税金のとらえ方が見えてきます。

FXや株式等とは通算できない

冒頭に述べたとおり、投機目的でビットコイン等の取引を行っている方が増えており、人によっては、FXや株式等と同時並行でやっている方もいると思います。当初、「FXや株式等で生じた損失とビットコイン取引で得た利益と相殺できるのでは」との考えもあったようですが、これは不可能となります。

FXや株式等は、申告分離課税されるのに対し、ビットコイン等の仮想通貨取引による利益は、雑所得として総合課税されるからです。

これは、仮想通貨の取引同士の利益と損失は相殺できても、仮想通貨取引とFX、仮想通貨取引と株式といったような相殺はできないということを意味します。

累進課税による税率

雑所得による総合課税ということは、おのずと累進課税による税率が課されることになります。

これは、税率をかける前の金額である課税標準が大きくなればなるほど、高い税率が掛けられる仕組みであり、金額に応じて、5%〜45%の所得税率(復興特別所得税、住民税は別途かかります)が課されることになります。

申告分離課税であるFXや株式は15%(復興特別所得税、住民税は別途)と一定であるため、これらと比較すると仮想通貨で大きく利益が出た場合は、高い税金がかかってきます。

仮想通貨で税金がかかるケースとは

国税庁のHPのタックスアンサーでは、「仮想通貨を使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります」と示されていますが、この使用とは、具体的にどのようなケースをいうのか、確認したいと思います。

売却したとき

一番分かりやすいのが、仮想通貨を日本円で購入し、値上がりしたので、売った(日本円に戻した)というようなケースです。

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合において、その売却金額が取得金額を上回るときは、その上回った差額が利益となり、所得税の課税対象となります。

商品を買ったとき

ビットコイン等をモノを買うために決済手段として使用した場合も所得税の課税対象となるケースがあります。

ビットコイン等を決済手段手段として使用するケースは徐々に広がってきていて、メルセデスベンツ等を扱うような輸入中古車販売店での取り扱いも出てきています。

保有するビットコイン等を商品購入の決済手段として使用した場合において、その使用時点での商品価額とビットコイン等の取得価額との差額が所得税の課税対象となります。

少し分かりづらいですが、保有しているビットコイン等が値上がりして、そのビットコイン等を使用することで、商品が安く買えて得したような場合は、所得税がかかります。

他の仮想通貨と交換したとき

仮想通貨については、種類が増え続けていて、ビットコインをはじめとして、イーサリアム、リップル、ビットコインキャッシュ、ライトコインなどの代表的なもののほかにも多数あり、1000種類を超えるといわれています。

人によっては、動向を見ながら複数所有したり、交換することによって利益を上げています。その仮想通貨同士の交換により生じた利益についても、課税対象となります。

保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入するための決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額、日本円換算金額)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が、利益とされ、税金がかかります。

マイニング(採掘)により取得したとき

仮想通貨はお金を払って買うだけではなく、マイニング(採掘)という方法でも手に入れることができます。

マイニング(採掘)などにより仮想通貨を取得した場合、その所得は、所得税の課税対象となります。

この場合の所得金額は、収入金額(マイニング等により取得した仮想通貨の取得時点での時価)から、必要経費(マイニング等に要した費用)を差し引いて計算します。

ただし、マイニングするにあたりコストが多大にかかるようになったため、一般の方でマイニングしている方は少ないようです。

分裂により新たな仮想通貨を取得したとき

仮想通貨の分裂(分岐)に伴い取得した新たな仮想通貨については、分裂(分岐)時点において取引相場が存しておらず、同時点においては価値を有していなかったと考えられます。

したがって、その取得時点では所得が生じず、課税対象となりません。その新たな仮想通貨を売却又は使用した時点において所得が生じることとなります。
なお、その場合の取得価額は0円となります。

 

 

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