これから会社を設立するなら要注意!会社設立時の注意点
2017/12/12
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これから会社設立しようとお考えの方は、設立するにあたって必要な項目を決定しなければなりません。その項目のうち特に注意すべきは、「商号(会社の名前)、事業目的、事業年度(決算月)、本店所在地、資本金の金額」です。それぞれの項目は、設立後も変更可能ですが、余計な手間とコストがかかってしまいますので、しっかりと検討の上、決定して、会社としていいスタートを切りましょう!
商号(会社の名前)の注意点
会社を設立するための必要項目のうち、商号(会社の名前)は、自分の好きな名前を自由に考えて決めたいとお考えになると思います。ただし、何も考えなしに自由に商号を決めてしまうと後で思わぬトラブルが生じるケースもあります。
なぜなら、会社法では次のように規定しているからです。 「何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。」また、不正競争防止法では、「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。」とも規定しています。
つまり、自分の考えた商号(会社の名前)が、既に同一の地域で使われていて、他社の営業上の利益侵害につながると判断されると、訴えられるかもしれないということです。
そうならないためにも、「法務局の商号調査簿」や「インターネット登記情報提供サービス」を利用して、念のため、同一商号はないか、誤認されそうな商号はないか、調べた上で、登記したほうが安全なのです。
事業目的の注意点
事業目的については、会社としてこれからやっていくことを定めますが、その内容が複数にわたる場合は、すべて含めて定めましょう。また、設立してすぐ行わないような事業内容でも、近い将来必ず行う予定があれば、設立時に合わせて定めておくといいでしょう。
一方、いつかやるかもしれないということで、あまりに多く内容を盛り込み過ぎるのも禁物です。実際何をしている会社なのか、取引先や金融機関から見えにくくなってしまいます。
また、建設業、リサイクルショップ、飲食店、美容室など、許可申請が関係する事業については、適切に事業目的を定める必要があります。
事業年度(決算月)の注意点
会社については、決算月に応じて1事業年度ごとに決算をむかえ、申告納税の時期が決まってきます。
この決算月の定め方を誤ったために、消費税の免税期間を最大限に活かしきれないということが、見受けられます。
会社の成長期である初期段階では、この消費税の免税期間は、資金繰りを考える上でとても大切な期間となりますので、決算月を適切に定めることも大切です。
また、事業内容によっては、繁忙期や納税タイミングを考慮して決定することもあります。
本店所在地の注意点
会社の本店所在地の候補としては、自宅や賃貸事務所、最近ではバーチャルオフィスなどが考えられます。
ここで気をつけたいのは、許可申請がからむ業種によっては、本店の所在地と事務所の場所が同じである必要があります。せっかく登記しても事業を行うことができず、登記をやり直すことにもなるので気をつけましょう。
また、登記の場所と事業活動拠点が異なることにより、余計に法人住民税がかかってしまうケースもありますので、しっかりと考慮した上で本店所在地を決定しましょう。
資本金の金額の注意点
今は多くの方がご存知のとおり、資本金が1円であっても会社を設立することが可能です。しかし、取引先への信用性を考慮するならばある程度の資本金額は必要となりますし、資本金が少額だと負債総額が資産総額を超えてしまう債務超過状態に陥りやすくなります。債務超過状態になると、金融機関からの融資が厳しくなります。
ただし、設立時の資金が潤沢にある方であっても、1000万円以上の資本金額とすることはオススメできません。設立から2年間の間、消費税の免税期間となるための要件を充たさなくなってしまうからです。
また、その資本金の出資者についても注意を要するケースがあります。出資者が代表者ひとりではなく、複数の出資者による場合は、出資者の人数やそれぞれの出資割合について慎重に検討しましょう。設立当初は問題とならなくても、将来会社の登記事項の変更を要する際に手続きが難しくなることもあります。
設立前からご相談下さい
会社設立時の注意事項について、何点か挙げさせて頂きましたが、設立時の注意点は、もちろんこの他にもあります。後で後悔しないためにも、設立前の検討段階から、ぜひ当事務所にご相談下さい。