設立するなら株式会社か?合同会社か?
最新記事 by 税理士 土屋 賢(つちや けん) (全て見る)
- 会社設立登記が早くなる?会社設立登記のファスト・トラック化について - 2018年5月26日
- 医療費控除適用、領収書添付不要へ 平成29年分より - 2018年1月4日
- ビットコイン等の仮想通貨による所得申告について - 2017年12月23日
会社とは、会社法に基づいて設立された法人のことをいい、会社の種類には、「株式会社」、「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」の4つがあります。
法人を設立のご相談の際には、一般的には「株式会社」を勧めてますが、それぞれの特徴を把握した上で、選択されるといいでしょう。
また、特定の業種においては、近年「合同会社」の設立数も増加傾向にあるようです。
合名会社、合資会社をお勧めしない理由
これから会社を設立する場合ににおいては、「合名会社」、「合資会社」については、「株式会社」、「合同会社」と比べて圧倒的なデメリットがあるため、お勧めしません。
それは、出資者における責任が出資金の範囲に関係なく、無限に責任を負うことになるからです。万が一、会社が債務を支払えなくなれば、出資者であるあなたが個人財産をもって支払う責任を負うことになります。
また、平成18年5月1日以降、会社法の施行により設立が一般的に認知度が高い「株式会社」が設立しやすくなったことから、わざわざ「合名会社」、「合資会社」を選択する人は少なくなっています。
株式会社と合同会社の違い
それでは「株式会社」と「合同会社」の違いについて主な特徴を見ていきましょう。
法人形態 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
資本金額 | 1円以上 | 1円以上 |
出資者の責任範囲 | 出資金の範囲 | 出資金の範囲 |
役員数 | 1名以上 | 1名以上 |
役員の任期 | 最長10年 | 無 |
会社の代表者 | 代表取締役 | 代表社員 |
定款の認証 | 必要 | 不要 |
登録免許税 | 最低15万円 | 最低6万円 |
まず、「株式会社」は役員の任期を定める必要があり、その任期の都度登記が必要となり、コストがかかるのに対し、「合同会社」は任期の定めがないため、そのようなコストがかかりません。
また、「合同会社」は「株式会社」と同様に定款の作成は必要となりますが、公証役場での定款の認証をする必要がありません。
設立の際にかかる登録免許税も「株式会社」より安くなります。
それでも株式会社をお勧めする理由
では、一見「合同会社」の方がメリットが多いように見えますが、一般的には「株式会社」をお勧めしています。
なぜなら、「株式会社」の方が圧倒的に認知度、取引信用度が高いとされているからです。この認知度、取引信用度については、仕入先との関係を強化したい、世間一般の方に社名を広めたい、将来的には社員を雇用したい、金融機関から融資を受けたいという時に大きく影響を及ぼします。
また、とりあえず「合同会社」で設立して、大きくなってきてから「株式会社」にということも可能ですが、変更自体にコストがかかることと、社名が入っているもの(看板、名刺、請求書その他の書類等)をすべてその時に一新しなければならいことを考えると設立時から「株式会社」を選択しておいたほうがいいでしょう。
少しでも会社の規模を大きくしたいというお考えの方には、やはり「株式会社」を選択するべきと考えます。
合同会社が適しているケース
合同会社が適しているケースとしては、まず上記のような、認知度、取引信用、融資、雇用を一切気にしないことが前提となります。
あくまで、法人化による節税メリットだけを受けたい、会社を大きくする予定はないが、元請の指示によりどうしても法人化しなければならないという時は、少しでもコストが安くなる「合同会社」がいいかもしれません。
設立手続きについて
設立手続きについては、当事務所が提携している司法書士、行政書士をご紹介させて頂きますので、安心してご相談下さい。
また、設立時における決定事項として、決算月や資本金額など、税金に影響する部分がありますので、事前に当事務所にご相談下さい。