青色申告のメリット(個人事業)① 青色申告特別控除
2017/06/12
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個人事業主の方の申告については、「白色申告」と「青色申告」がありますが、青色申告で申告するためには、税務署へ「青色申告承認申請書」を期限内に提出する必要があります。
(開業時の届出手続きについては、下の記事を参考にしてください)
提出しなかったり、提出が期限に間に合わない場合には、「白色申告」で申告することになります。
青色申告で申告すると、税制上の様々なメリットを受けることできますが、そのうち、最もメリットの大きい青色申告特別控除について解説します。
(青色申告特別控除以外のメリットについては、下の記事をご確認ください)
青色申告特別控除が受けられる
通常、売上などの収入から経費を差し引いた金額が所得となり、税金が課されてしまいますが、最高65万円もしくは10万円の控除額をさらに差し引くことができます。
お金を使わなくても控除が受けられ、控除額に応じて所得税、住民税、国民健康保険料等が安くなるため、非常にメリットが大きいものと言えます。
65万円の控除を受けるには
最高額である65万円の控除額を受けるためには、以下の要件をすべてみたさないといけません。
①不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること
②正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
③②の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、
控除適用額を記載して法定期限内に提出すること。
①の要件について、不動産所得のみの方は、事業的規模に達しているかどうかの判定が必要となります。
目安としては、アパート等であれば10室以上、貸家であれば5棟以上かどうかという一つの基準がありますが、総合的に見て一定の規模に達しているか判断をしていきます。
②の要件について、取引を複数の科目により記載していくことにより、帳簿を作成する必要があり、一定の簿記知識が必要となります。
しかし、最近の会計ソフトは、簿記知識が一定以上なくても、結果として複式簿記となるよう工夫されているものも多数ありますので、利用することをおすすめします。
③の要件について、まず損益計算書については、「白色申告」でも作成しますが、さらに複式簿記に基づいた事業上の資産、負債を指し示す貸借対照表の作成も必要となります。
また、申告書の提出が期限に遅れてしまった場合には、やはり65万円の控除の適用を受けることができません。
その他の注意点
1.現金主義によることを選択している場合には、65万円控除の適用を受けることはできません。
2.青色申告特別控除前の金額、つまり収入から経費を差し引いた金額が65万円に満たない場合には、その満たない金額が控除限度額となります。
3.不動産所得と事業所得の両方がある方については、不動産所得→事業所得の順序で控除します。