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接待交際費等の損金算入について

   

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税理士 土屋 賢(つちや けん)

代表税理士土屋税務会計事務所
東京都調布市で開業している税理士です。会社設立や資金調達、決算書作成に税務申告、税務調査対応に至るまで親切丁寧にサポートします。お問い合わせはこちらまで。

「接待交際費は、法人税の計算上どこまで経費(損金)になるの?」
という疑問をお持ちの経営者の方は多いと思います。
今回は、接待交際費の損金算入についてお話します。

◆損金算入できるの範囲
まず、損金算入できる接待交際費の範囲ですが、簡単に言うと「飲食費」のみです。
贈答品や送迎代などは損金算入できません、、、
しかし、資本金1億円以下の企業には特例があります。
資本金1億円以下の企業は年間800万円までは接待交際費を損金算入できます。

◆交際費の年間800万円までの定額控除
中小企業が年間800万円までは接待交際費を損金算入できる仕組みは
「飲食費」の損金算入を理解するとわかります。
まず、飲食費ならいくらでも損金算入できるかというと、そうではありません。
1人1万円以下の場合は、どの企業も損金算入できます。
1人1万円超の場合は、資本金の額によって損金算入できる金額が異なります。

【1人1万円以下の飲食費】 
 すべての企業で損金算入できる。

【1人1万円超の飲食費】
 ◎資本金100億円超の企業・・・全額損金算入できない
 ◎資本金1億円超100億円以下の企業・・・50%損金算入できる
 ◎資本金1億円以下の企業
   次の①、②のうち大きい金額を損金算入できる
    ①50%損金算入
    ②年800万円まで(1人1万円以下の飲食費以外の接待交際費の合計)

資本金1億円以下の企業に注目!
資本金1億円以下の企業は①1人1万円を超える飲食費の50%と②接待交際費の合計
(年間800万円まで)のどちらかを選択できます。つまり、年間800万円までは、
接待交際費全額を損金算入できるということです。そして、1万円以下の飲食費はこれ
とは別で損金算入できます。
※書類の保存等の要件はあります。

接待交際費の計上は判断が難しい論点もあるかと思います。
法律に基づき、安心して接待交際費を計上したい!という経営者の方、
是非、税理士法人調布パートナーズ(土屋税務会計事務所)までご相談ください。

お問い合わせはこちら


詳しい要件等は関連規定を以下にまとめましたので、参考にしてください。
  

1 制度の概要(措法61の4)

法人が支出した交際費等の額は原則として損金不算入となるが、資本金100億円以下の法人は、交際費等の額のうち接待飲食費の50%相当額以下の金額を損金算入することができる(接待飲食費の50%損金算入特例)。また、資本金1億円以下の法人は、支出する交際費等の額のうち、年800万円までの金額を損金算入することができる(「年800万円までの定額控除」)。ただし、資本金5億円以上の法人と完全支配関係がある法人は、「年800万円までの定額控除」を適用できない(【参考1】)。
【参考1】法人の規模に応じた特例の適用可否(○:適用対象、×:適用対象外)

資本金接待飲食費の50%損金算入特例年800万円までの定額控除
100億円超××
1億円超100億円以下×
1億円以下○(※)
※資本金5億円以上の法人と完全支配関係がある法人を除く

なお、資本金1億円以下の法人は、「接待飲食費の50%損金算入特例」と「年800万円までの定額控除」の有利な方を選択できる。
どちらの特例も令和9年3月31日まで適用可能。

2 飲食費の金額基準の引上げ

交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準が、令和6年4月1日以後に支出する飲食費から1人当たり1万円以下(改正前:5千円以下)に引き上げられている。1人当たり1万円以下の飲食費であるかどうかは、次の算式で計算した1人当たりの金額が1万円以下か否かで判定する( 措令37の5 ①)。
<算式>

1人当たりの金額 = 飲食費として支出する金額 ÷ 飲食等に参加した者の数

飲食等が1次会・2次会など複数にわたって行われた場合でも、それぞれの行為が単独で行われていると認められれば、それぞれに係る飲食費ごとに1人当たり1万円以下か否かを判定できる。消費税等の額を1人当たり1万円以下の飲食費の判定に含むかどうかは、法人の経理処理により異なり、税抜経理方式を採用している場合は消費税等の額を含めずに判定する。
なお、1人当たりの飲食費が1万円を超えた場合、1万円を超える部分だけではなく、その全額が交際費等に該当する。1人当たり1万円を超える飲食費は、「接待飲食費の50%損金算入特例」又は「年800万円までの定額控除」を適用して損金算入することができる。

3 飲食費の定義

対象となる飲食費の定義は、「交際費等のうち飲食その他これに類する行為(飲食等)のために要する費用」で、【参考2】の事項を記載した書類の保存が適用要件になる( 措規21の18の4 )。
【参考2】書類の記載事項

イ,飲食等のあった年月日
ロ,飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称
及びその関係
ハ,飲食等に参加した者の数
ニ,飲食費の額並びに飲食店・料理店等の名称及びその所在地(店舗を有しないことその他の理由により名称又は所在地が明らかでない場合は領収書等に記載された支払先の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地が記載事項となる)
ホ,その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項

「交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用」には、従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」のほか、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」、飲食等のために飲食店等に直接支払う「テーブルチャージ料やサービス料等」などが含まれる( 措法61の4 ⑥、 措通61の4(1)-15の2 等)。一方で、「飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用」などは含まれない(【参考3】)。
【参考3】飲食費の範囲

飲食費に該当するもの飲食費に該当しないもの
・従業員等が得意先等を接待して飲食
するための「飲食代」

・得意先等の業務の遂行や行事の開催
に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」

・飲食店等での飲食後にその飲食店等
で提供されている飲食物の持ち帰りに
要する「お土産代」

・飲食等のために支出する「テーブル
チャージ料やサービス料等」
・「飲食物の詰め合わせを贈答するため
に要する費用」

・得意先等を飲食店等へ送迎するために
支出する「送迎費」

・ゴルフや観劇など旅行等の催事に際し
ての飲食等に要する費用(飲食等が催事
後に一部の得意先等を誘って飲食を行っ
た場合等、別に単独で行われていると認
められる場合を除く)

・社内飲食費 
(※)1人当たり1万円以下の場合を含む

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