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平成29年度から適用 知っておくべきセルフメディケーション税制について

      2018/01/05

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税理士 土屋 賢(つちや けん)

税理士 土屋 賢(つちや けん)

代表税理士土屋税務会計事務所
東京都調布市で開業している税理士です。会社設立や資金調達、決算書作成に税務申告、税務調査対応に至るまで親切丁寧にサポートします。お問い合わせはこちらまで。

医療費控除の特例として、平成29年1月からセルフメディケーション税制が始まります。

確定申告が必要になりますが、従来の医療費控除では、金額の結果、適用できなかったような方も、適用が受けられるケースが出てきますので、確認しておきましょう。

制度創設の目的

制度創設の目的としては、国民のセルフメディケーションの推進としています。

そもそもセルフメディケーションとは何かというと、WHOにおいて「自分自身の健康に責任を持ち、軽度の身体の不調は自分で手当すること」と定義されています。セルフメディケーションの推進により、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取組を促進し、医療費の適正化にもつながるとされています。

制度の仕組み

健康の維持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日~平成33年12月31日までの間に,自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定成分を含んだOTC医薬品(いわゆるスイッチOTC医薬品)の購入の対価を支払った場合において,その年中に支払った対価額の合計額が1万2千円を超えるときは,その超える部分の金額(上限8万8千円)について,その年分の総所得金額等から控除します。

一定の取組について

制度の適用を受けるためには、健康の維持増進および疾病の予防への取組として「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類と領収書等を添付しなければなりません。

書類については、「氏名」、「取組を行った年 (平成29年1月1日以降に受診し,確定申告の対象となる年と同一の年に受診したものであること)」、「取組を行った医療機関等の名称」が記載されているものとなります。

一定の取組については、以下のものに限定され、それぞれ、税務署に提出が必要な証明書類があります。
なお、いずれか1つを受けていればよいため、全てを受ける必要はありません。

一定の取組 必要な証明書類
① 健康診査 保険者に関する記載がある健康診査の結果通知表(写し可)
② 予防接種 予防接種にかかる領収書(原本)又は予防接種済証
③ 定期健康診断 「定期健康診断」という名称又は「勤務先(会社等)の名称」の
記載がある定期健康診断にかかる結果通知表(写し可)
④ 特定健康診査 「特定健康診査」という名称又は「保険者名」の記載が
ある特定健康診査にかかる領収書(原本)又は結果通知表(写し可)
⑤ がん検診 「がん検診にかかる領収書(原本)又は結果通知表(写し可)

厚生労働省のホームページの以下のフローチャートも参考にしてください。
【チャート】一定の取組の証明方法について

対象となるOTC医薬品とは

医師によって処方される医療用医薬品から,ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(いわゆるスイッチOTC医薬品)とされます。

具体的には、厚生労働省のホームページの「2セルフメディケーション税制対象品目一覧」で確認ができます。
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について

約1,500品目あり、普段購入するようなかぜ薬、胃腸薬、肩こりの貼付薬なども含まれています。

すべてではないようですが、平成29年1月施行に伴い、多くの対象の製品の製品パッケージにセルフメディケーション税制の対象製品であることを示す識別マークが表示されるようになるようです。self

従来の医療費控除との関係

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)による所得控除と、従来の医療費控除とを併用することはできません

購入した対象医薬品の代金の1年間の合計額を確認し、従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制のどちらの適用とするか,ご自身で選択することになります。

ちなみに従来の医療費控除の仕組みは以下のとおりです。

自己又は自己と生計を一にする親族等のために医療費を支払った場合に

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円(又は総所得金額の5%のいずれか少ない方)

で算出された金額を所得控除する(上限200万円)

この仕組みでは、1年間の医療費合計額が10万円(又は総所得金額の5%のいずれか少ない方)を超えなければ、適用することはできませんでした。

セルフメディケーション税制では、対象医薬品の合計額が1万2千円を超える場合は、適用することができます。

ただし、1万2千円の金額のハードルが高いか低いかは、ご家庭の医薬品にかけている金額によるかと思います。

また、従来の医療費控除の上限金額が200万円に対し、セルフメディケーション税制では8万8千円となりますので、状況により適切な選択をすべきでしょう。

比較計算

国税庁のホームページにて、セルフメディケーション税制と従来の医療費控除を比較できるようになりました。

セルフメディケーション税制と医療費控除の比較

適用手続き

一定の取組を行ったことを明らかにする書類および領収書、セルフメディケーション税制対象商品である旨が記載された領収書を添付した上で、所得税の確定申告が必要となります。

平成30年度(平成29年分)の確定申告から適用が始まりますので、領収書をしっかりと保存しておきましょう。

なお、通信販売等で対象医薬品を購入した場合に、自宅でプリントアウトした領収書等は証明書類の原本として認められていないため、販売会社に証明書類の発行の依頼が必要となります。

様式と記載例

国税庁のホームページにて、セルフメディケーション税制の明細書の様式と記載例が公表されましたので、ご確認下さい。

セルフメディケーション税制の明細書の様式と記載例

まとめ

新制度を理解し、一定の取組を行った上で、従来の医療費控除とどちらを適用すべきか選択しなければなりません。

今までは、医療費控除を受けられなかった方も適用できる可能性がありますので、ぜひご相談下さい。

また、この制度から、「軽い症状だったら医療機関に頼らず、ドラッグストアで薬を買って治しましょう。」というメッセージが見え隠れするのは、私だけでしょうか。

 

 

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