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平成29年度から徹底される個人住民税の特別徴収について

      2016/11/18

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税理士 土屋 賢(つちや けん)

代表税理士土屋税務会計事務所
東京都調布市で開業している税理士です。会社設立や資金調達、決算書作成に税務申告、税務調査対応に至るまで親切丁寧にサポートします。お問い合わせはこちらまで。

本年度の税務署からの年末調整資料の中に以下の資料が同封されています。
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東京都の従業員を抱えている個人事業主の方や会社事業主の方であれば、源泉所得税の納付書等といっしょに同封されているのではないでしょうか。

昨年度は千葉県が同様のお知らせをしていました。今年はよく見ると、「九都県市、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市は、連携して特別徴収を推進します。」と書いてあります。埼玉県、神奈川県に事業所がある場合も同様に同封されていることでしょう。

ちなみに事業所がこれらの都道府県、市区町村になければ関係がないのではなく、これらの都道府県、市区町村に住所がある従業員がいれば関係してきます。

今回は、この個人住民税の「特別徴収」について解説します。

個人住民税の納付方式

個人住民税の納付方式は、普通徴収と特別徴収の2つの納付方式があります。

普通徴収

前年の1月1日~12月31日の所得をもとに計算された納付額を記載した納付書が各納税者のもとに送られてきて、年4回(もしくは一括)により納税者自身によって納める方式です。

納付については、給与支払者である個人事業主や会社はタッチせず、各個人に委ねられます。

特別徴収

納付額について、前年の1月1日~12月31日の所得をもとに計算することは普通徴収と同じですが、納付書が事業主や会社に送られてきます。

そして、給与支払者はその納付書に記載されている金額を12ヵ月にわたって分割して、毎月の従業員の給与額から差し引き、納税者である従業員に代わって納付します。納付日は原則毎月10日となります。

普通徴収を認める基準

専属の経理の方がいるような一定規模の会社であれば、今ままでも当然のように「特別徴収」を採用していると思います。

しかし、専属の経理の方がいなければ、事務的負担を削減するため「普通徴収」を採用している事業主の方や会社も多いのではないでしょうか。

今回の通知をきっかけにそのような方も特別な理由がない限り、「普通徴収」を採用し続けることは難しいかもしれません。

ちなみに普通徴収を認める基準として以下のように提示されています。

1.総従業員数が2人以下

2.ほかの事業所で特別徴収

3.給与が少なく税額が引けない。

4.給与の支払が不定期

5.事業専従者(個人事業主のみ)

6.退職者又は退職予定者

上記に当てはまらなければ、原則「特別徴収」ということになります。

特別徴収による納付方法

ご説明のとおり、特別徴収については、給与支払者である事業主や会社が従業員に代わって住民税を納付することになりますので、納付する手続きによる手間が増えることになります。

納付については、毎月納付書を金融機関に持ち込んで納付することがオーソドックスな方法になりますが、その他にもいくつか納付方法がありますので、ご紹介します。

状況に合わせて活用されると事務負担を軽減できるでしょう。

三菱東京UFJ銀行の納付書一括収納サービス

申込み手続きや手数料が必要となりますが、 三菱東京UFJ銀行に法人口座がある方は利用できます。

簡単に説明すると、

①三菱東京UFJ銀行に納付書を送付する
②三菱東京UFJ銀行にて納付を実施する(納税完了)
③三菱東京UFJ銀行より会社に納付書情報をデータにて還元される

http://www.bk.mufg.jp/houjin/it/keihi/noufusho/

非常に便利な仕組みで、手間が省けるでしょう。

インターネットバンキングからの住民税納入サービス

金融機関によって、インターネットバンキングに申し込むことで地方税の納入ができるサ―ビスがあります。
毎月の納付データをインターネットバンキングで入力し、各市町村に納付できます。

サービス対応しているかどうか、手続き等については、銀行により異なりますので、問い合わせてみるといいでしょう。

住民税の納期の特例の申請

住民税の納付の手間を省く方法として納付する回数を減らす方法もあります。
従業員が常時10名未満である場合に限り、申請し、市町村長の承認を受けることにより、特別徴収税額の年12回の納期を年2回とすることができます。

つまり、6ヵ月分をまとめて年2回納付します。

納期は以下のとおりとなります。

①6月分~11月分・・・12月10日までに納付

②12月分~5月分・・・6月10日までに納付

この特例を利用するには、各都道府県および各市区町村に「特別徴収税額の納期の特例に関する申請書」を提出する必要があります。

 

まとめ

この特別徴収を徹底する動きは、他の都道府県、市区町村でも広がっていくと思います。ひとりひとり各個人を納税義務者として管理するよりは、給与支払者である個人事業主や会社を特別徴収義務者として管理するほうが、各自治体の事務負担が軽減されるのでしょう。

従業員を抱えている個人事業主や会社経営者の方は、できるだけ負担にならないよう上記サービスや申請を活用されるといいでしょう。

 

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